顎関節症とは

顎関節症とは、顎関節やその周囲の組織に発生した異常により様々な症状を示す疾患です。下顎を動かした際に顎に痛みが出る、口が開きづらくなる、口の開閉時に不快音が鳴るなどの症状を示します。
顎は食事や会話などにおいて重大な役割を果たしているため、顎関節症になると生活の質の低下を招きます。なお、症状は他の疾患が原因になっている可能性もあるため、歯科医院を受診して原因を特定することが大切です。
当院では、まずは問診により症状の内容や経過、既往歴などをお伺いし、その上で必要な検査を行っています。気になる症状がある方は、一度当院までご相談ください。
顎関節症の主な症状
- 顎が痛い
- 食事を摂ると顎が疲れる
- 口を大きく開くと顎が外れそうになる
- 口を開けづらい・大きく開けない
- 口の開閉時に、「カクン」「コキコキ」など不快音が鳴る
- 口を左右に動かせない
- 口を開こうとすると引っ掛かる感覚があるなど
その他の症状
- 首・肩のこり
- 目の痛み・疲れ目
- 胃痛
- 頭痛
- 耳鳴り・難聴
- 便秘・下痢
- 肩の痛み
- 手足の痺れ
- 冷え
- 腰痛
- 吐き気
- 生理痛・生理不順など
顎関節症の原因
顎関節症の原因
顎関節症の原因は多岐にわたります。主な原因は以下の通りです。
顎に負担がかかる悪習慣、姿勢の乱れ
歯ぎしりや片方の歯で噛む癖があると、顎関節が疲弊して顎関節症を引き起こす可能性があります。また、長時間にわたって足を組んだ状態で座る、頬杖をつくなどの行為は噛み合わせの悪化を招き、顎関節症を引き起こすことがあります。
噛み合わせの悪さ
噛み合わせが悪いと顎関節に負担がかかるため、顎関節症の原因となります。
過度なストレス
過度なストレスを受けると顔面周囲の筋肉が緊張し、歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなります。これが顎関節の疲弊を招き、顎関節症に繋がります。
スポーツや交通事故などによる外傷
スポーツや交通事故などにより顎にケガを負った場合、筋肉や軟骨の損傷、関節円板のズレが起こり、顎関節症に繋がることがあります。
顎関節症の検査方法
顎関節症は複数のタイプにけられます。以下の検査を組み合わせ、顎関節症の有無やタイプを診断します。
問診
最初に、痛みが始まった原因やその程度についてお伺いし、痛みが一度きりなのか、何度も繰り返し症状が現れているのか、その頻度も含めて詳しくお話をお聞きします。また、顎関節症は生活習慣やストレスなどの影響を受けるため、それらについてもお尋ねします。
身体所見・筋肉の触診
お口の開閉具合をチェックし、開きづらい場合は何が問題となっているのか、引っかかっている部分を調べます。口を開け閉めする際に音が鳴る場合は、どんな音か、どのくらいの頻度で鳴るかも確認します。さらに、顎周りの筋肉や関節を触診し、張りや痛みの有無・程度を調べます。顎の運動に関与する筋肉としては、側頭筋や顎二腹筋、咬筋などがあり、それぞれにかかる負担を特定していきます。
心理検査
顎関節症の発症には、噛み合わせや歯ぎしり、生活習慣といった身体的要因に加え、ストレスなどの精神的要因も関わります。そのため、必要に応じて心理テストやストレスチェックを行います。
歯科医院での心理テストは一般的ではないかもしれませんが、世界的に認められた顎関節症の診断基準「DC/TMD」では、身体的評価に加えて心理的評価も含まれており、今後は日本でもこの基準が広がると予測されています。当院では、この基準をもとに診断を行っています。
レントゲン検査
顎関節症の診断にはパノラマレントゲンを使用します。この検査では上下の歯や顎の全体像を一度に確認でき、顎の痛みが歯の問題によるものかをチェックできます。
また、四分割法で口を開けた時と閉じた時の状態を撮影し、顎関節の動き具合を比較します。
CT検査
CTスキャンを使うことで、顎関節の構造を3Dで詳細に観察することができます。主に骨の異常や関節内の問題を検出するために行い、これにより精密な診断が可能です。
当院では、顎関節の左右を同時に撮影できる歯科用CTを使っており、患者様の負担を軽減しています
MRI検査
MRI検査では、レントゲンやCTでは見ることのできない顎関節周辺の軟部組織(筋肉、靭帯、軟骨、滑液など)の状態を調べます。この検査により、軟部組織の異常や炎症を見つけることができます。日本ではMRI設備を持つ歯科医院は少なく、当院では必要に応じて高度な医療機関を紹介することもあります。
顎関節症の治療法
運動療法
下顎を動かす、口を開けるなど顎関節の運動動作を無理のない範囲で行います。
物理療法
顎関節症の物理療法では、温冷療法を実施します。これにより、筋肉のこわばりや痛みの軽減が期待できます。
スプリント療法
スプリント療法はマウスピース型の装具を使った治療で、歯ぎしりや食いしばりを抑え、筋肉の緊張を軽減できます。
薬物療法
痛みを抑える鎮痛薬などのお薬を処方します。
習慣改善の指導
顎関節症は頬杖など悪習慣が原因となることがあります。この場合、患者様ご本人に悪習慣が原因となっていることを理解頂き、習慣改善のための指導を行います。
気になる症状があれば、
すぐに当院までご相談ください
顎関節症の症状はすぐに落ち着くこともあり、放置する方も少なくありません。しかし、治療せずにいると少しずつ悪化していき、気づいた頃には手術が必要になるほど重症化していることもあります。
そのため、少しでも気になる症状があれば、原因の特定のためにも当院までご相談ください。