いびきについて
いびきは、睡眠中に狭窄した気道を空気が通過する際に発生する振動音です。仰向けの状態では、のどの奥の口蓋垂(こうがいすい:通常「のどちんこ」)や軟口蓋(なんこうがい)、舌根などは重力によって沈みます。
深い眠りに入ると筋肉が休まるため、より上気道は狭窄します。このようなことから、いびきは誰しもがかくものですが、いびきが一晩中続く場合は何らかの異常が疑われます。
このような症状はありませんか?
いびきは多くの方の悩みの種ですが、不快音以外にも様々な問題に繋がる可能性があります。次のようなお悩みを抱えている場合、当院までご相談ください。
- しっかり睡眠時間を取ったのに熟睡感を得られない
- 疲労感や頭痛が続いている
- 日中に激しい眠気に襲われ、集中力が低下している
- いびきにより家族の方の睡眠を妨げている
- 起床時に疲労感がある
また、後ほど詳しく説明しますが、いびきがひどい場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。
いびきの代表的な原因
のどの筋肉の弛緩
睡眠中に口やのど周囲の筋肉が弛緩し、空気の通り道である気道が狭窄することがあります。その結果、狭くなった部分に空気がぶつかり、いびきをかきます。筋肉が弛緩する原因は、飲酒や疲労など様々です。
扁桃腺肥大・アデノイド肥大
扁桃腺やアデノイドが肥大した場合、鼻の空気の通り道(鼻腔)が狭窄して口呼吸が多くなり、いびきが発生することがあります。また、鼻づまりの原因にもなります。
子どものいびきは扁桃腺やアデノイド肥大が原因となることが多いです。
鼻づまり
鼻が詰まっていると、口呼吸が多くなりのどの筋肉が弛緩することで、いびきをかきやすくなります。
舌の位置の後退
何らかの原因により就寝中に舌の位置が後ろに下がってしまうと、気道が狭くなり、息苦しさを覚えたりいびきが発生したりすることがあります。
肥満
肥満の方は首の周囲の脂肪組織が気道を圧迫し、いびきが発生することがあります。また、肥満によって舌周囲の組織が肥大化すると、就寝中に舌がのどの奥に落ち込んでいびきが発生することもあります。
加齢
加齢に伴うのど周囲の筋肉の低下や組織のたるみにより、いびきが起こりやすくなります。また、更年期に伴う女性ホルモンの減少もいびきの発生率を高める要因となります。女性ホルモンの一種であるプロゲステロンは気道を広げる働きがありますが、更年期ではこのホルモンの分泌が少なくなり、気道が狭窄することでいびきが起こりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群が
原因の可能性も
いびきは睡眠時無呼吸症候群が原因となっている可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が浅くなる、あるいは止まる疾患で、いびきの他にも痛風や高コレステロール血症、狭心症、心不全の原因となります。また、眠りが浅くなり、日中に激しい眠りに襲われ、交通事故の原因となることもあります。このことから、欧米では運転業務に関わる方には検査が義務付けられています。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
睡眠時無呼吸のセルフチェックとして「STOP-Bang質問表」があります。8つの質問から構成されており、各質問の頭文字から名づけられました。3つ以上該当する場合は睡眠時無呼吸が強く疑われます。
- いびき(Snoring):いびきをパートナーから指摘される
- 疲労(Tired):日中に疲労感や眠気がある
- 目撃(Observation):パートナーから睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
- 血圧(Blood Pressure):健康診断などで高血圧を指摘された
- 肥満(Body mass index):肥満体型(BMI25以上)
- 年齢(Age):年齢が50歳以上
- 首周囲径(Neck circumference):首周囲の長さが40cm以上(のどぼとけの部分を測定)
- 性別(Gender):男性
いびき治療

いびき治療は、いびきを減らすことを目的とし、気道を拡張する治療を行います。治療は、切開や縫合などを必要とする侵襲的な治療と、それらを行わない非侵襲的な治療の2種類に大別されます。侵襲的な治療には口蓋垂口蓋咽頭形成術などの手術が挙げられます。
一方、非侵襲的な治療にはマウスピース療法やCPAP療法、レーザー治療などが挙げられます。これらの治療の中から、原因や症状の重症度に応じて適切な方法を選択します。
当院で推奨している
「スリープスプリント」とは?
当院では、いびき治療として「スリープスプリント」というマウスピースを使った治療を推奨しています。就寝中に口に入れることで、気道が拡張していびきを軽減することが可能です。
非侵襲的な治療であり、薬物療法と違って副作用のリスクもありません。また、費用負担も少なく済むので、取り組みやすい治療となっています。
各患者様に合わせて作製します
スリーブスプリントはマウスピースの一種なので、患者様の顎や口の形、歯並びなどに適したものを作製する必要があります。そのため、診断を受けることが必要で、作製が完了するまでに2~3回お越し頂きます。
素材はアクリル樹脂を使用しており、歯の状態が変わらない限りは使い続けられ、遠方に移動する際も持ち運びできます。
いびきで悩まれている方はスリーブスプリントをまずはお勧めしています。お悩みの方はお気軽に当院までご相談ください。